スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--年--月--日 | スポンサー広告 | トラックバック:- | コメント:-

深海ムック本まとめて紹介

最近深海ブームがちょっと起きているのか、関連書籍がたくさん出てますね。

そしてその中でも、こういうブームの時に便乗と言わんばかりに最も増える本だと思っているのがそう、ムック本です。

まず、ムック本というのは基本的に編集さんが頑張って作る上に、大量生産したりでコストダウンが図りやすい形態なので、第一に作りやすいという特徴があります。
そして、普通の本と違い雑誌流通に乗せるものなので、普通の雑誌コーナーに置いてもらえることが多いんですよね。ということは、普段科学系の本棚なんかには足を運ばないような人にも、雑誌コーナーであれば目に止めてもらうことができるということ。
この、「安く作れて」「色んな人に見てもらいやすい」ムック本は突然できたブームに乗っかるときにはまさに最適。

しかし、我々はあくまでも消費者。そんな出版社の事情なんて知ったこっちゃないのです。
コストダウンが図られてるのは良いですが、クオリティまでダウンしてもらっちゃあ困るんですよ!
中身が微妙なものは、普段から興味のない人だろうと、普段から興味しかない人だろうと買って嬉しい事はないのだから。

しかしそうは言っても微妙なものはどうやったって存在するもの。
それをどう回避するかが頭を悩ませる種だと思うので、俺が買ってきたもの4種を軽く紹介することにします。
それが皆さんのムック本購入の参考になれば良いなと思います。

まあ、出たの4ヶ月近く前なんですけどね。
気にしない気にしない。まだ店頭には並んでることがあるかもしれない。その時参考にするんだ。



shinkai_tanken.jpg

タイトル:深海探検
刊行:2013年8月
価格:1600円(税抜き)

一言で言えば「悪くない」
しかし良くもない。

巻頭に深海展特集、前半深海生物特集、後半深海探査特集という構成。
深海展はもうとっくに終わった国立科学博物館の企画展ですね。特集という割に6ページしかないし、少し文章で「深海展っていうのをやるよー」と書いて、後はペタペタっと深海展で見れる生物の写真を少しだけ貼って終わりという、「ああ、深海展自体の詳細はこの編集の人たちもわからなかったんだな」ということがどことなく見て取れる内容。これいらんかっただろ。

個人的に肝心なところである、深海生物特集の中身としては「深海のフシギな生きもの」とか「深海のとっても変わった生きもの」の劣化版といったところ。
きれいな写真に少しの文章が付くレイアウト。それで背景が黒っていうとこの2冊が思い浮かぶ。
写真自体は8割くらいはamanaimagesから。他にもネット上で見かける写真多数で「ネットの海で採取頑張りました」という感じがひしひしと伝わります。
とはいえ、それでもきれい目の写真が多いので、がっくりするほど悪くはない。
ただ、やっぱり見覚えがあるのばかりだとなぁ・・・と思うのは深海生物系の本を買い漁る人間が悪いのか。いいや、俺は悪くない。新鮮なネタを持ってこない出版社が悪いのだ。
というわけで、何も知らない人だったらいい感じなのかも。他にも深海系の本持ってる人は覚悟しとくように。

あと、この本に限らないけど、もうそろそろ

nyudou_kajika.jpg

この写真を使うのは止めようよ。画像荒いし。見飽きたし。


後半の深海探査特集は、前半の深海生物特集と打って変わって文章がどっと多くなります。
深海の環境についてと、どんな探査艇があってどんなことやってるかってな事の紹介。
その辺りに詳しい人は「もう知ってるよ」で終わりそうですが、知らない人にはいい感じ。なのかな。

とまあ、「悪くはない」内容です。
しかし、これで1600円なら素直に「深海のとっても変わった生きもの」(1300円)を買ったほうが幸せになれる気がする。深海生物好きは。
深海の環境とかを知りたいなら「深海の不思議」(1500円)とかを買った方が幸せだろうし、なんというか、中途半端な内容と言わざるを得ない。

しかし、何も知らない人向けの取っ掛かり的な意味合いであれば、割りと重宝するかも。
個人的にはあまりオススメの本にはならないね。



newton_sinkai.jpg


タイトル:深海の世界
刊行:2013年8月
価格:2300円(税抜き)


僕はずっと!待ってた!
ニュートンからのムックを!深海の奴を!

というわけで、個人的にずっと待ち望んでた深海のニュートンムックが出ました。
中身はどんなものかというのを簡潔に書くと、「これはニュートンムックです」

以上。

よくわからなかった人向けに説明したいのですが、この独特な構成をどう説明したら良いものか。
こう、トピックスの寄せ集め的な感じなんです。普段刊行されているニュートンの特集を深海のものだけ寄せ集めた感じ。
これは決して悪口ではなく。それにこのムックのために書き下ろされているでしょうし。多分。

上手いんだか普通なんだか微妙な深海生物のイラストで紹介するページもあれば、
普通にちょっと画質が荒い深海生物の写真をドアップにして紹介するページもあり、
動画から切り取った荒めの画像を使って深海生物を紹介するページもあったりと多種多様な感じなんです!
これはちょっと悪口ですけど!
ヒロビレイカのイラストが酷かったのでつい悪口を!(表紙の右下にいるやつ)

ちなみにイラストとか写真は多いけど、文章も多めで本の虫の人も安心。

内容としては、深海生物って言うよりは深海の環境的なところとか、その調査方法、調査機器とかに力を入れている感じで、「生物好き」としては若干物足りない感はあります。
ええい!しんかい6500はいい!ユウレイイカを映せ!状態。
しかし全体的に、結構文章量は多いし、科学雑誌のノウハウ活かしてわかりやすくかつ適度に突っ込んだ内容なので中々楽しめます。

とまあ中身は結構良いんですが

高い

お前ムックで2300円て。いつものニュートンムックの値段ですけど。2300円て。
いいか?2000円以内で買える深海の本は腐るほどあるし、もう少し出せば東海大学出版の本が買えるんだよ?深海生物の本に限らず。追加で500円も出せば「新鮮イカ学」という大変素晴らしい本も買える。
「新鮮イカ学」という大変面白い本が買えるのだ。

そこら辺をよく考えて欲しい。よく考えて「新鮮イカ学」を読んで欲しい。このムックとは関係が全くないが「新鮮イカ学」がオススメなのだ。

というわけで、新鮮イカ学は置いておいてこのムックについてですが、そこそこ内容は良いけど高い。が結論。
札束で顔が叩けるような人にはマストバイ。それ以外の人にもそこそこ薦められます。





nikkei_husigiumi.jpg

タイトル:不思議の海
刊行:2013年6月
価格:2000円(税抜き)

発売したの半年前で尚且つ深海特集でもないのに何でこれ出してんの?馬鹿なの?

という内なる声とか幻聴とかは聞こえてくるんですが、面白かったし深海関係あるし、良いんですよ。うん。

というわけで、面白かったんですよ!

日経サイエンスの海特集のムックというわけですが、内容的には海の生物の記事がメインですね。
あまり機械とかにはスポットが当たりません。環境的なことは、生物の解説で必要ならば、って感じです。

上の二つは
「深海生物は~こんなのがいるんですよ~これとか~これとか~よくわからないけどこんなのとかいるんですよ~」
って感じで写真やイラストが載ってるだけで、そういうのがいるっていうのは把握できてそれはそれで面白いんですが、いかんせん内容が薄くなりがちです。

しかしこのムックは違う。
第一章の「海に溶け込む」の中でも
・リーフィーシードラゴンはどういう生物
・カエルアンコウはどういう生物
・透明な生物たちはどうやってその透明さを実現しているのか
というような内容をそれぞれ8~11ページ使って説明しています。

もちろんこれには写真などのページも含まれますが、それでも一つの内容を掘り下げて書かれているので大変読み応えがあってよろしいのですよ。
これがこの章だけでなく全章でこの調子なので、最初から最後まで読むとムックの割にはかなりボリュームがあるように感じます。

ちなみに説明からしてわかってるとは思いますが、深海オンリーのムックではありません。
ベニクラゲの話もあればオワンクラゲの話、というよりノーベル化学賞の話などもあります。
しかし、深海生物がらみの話が割りと多いのも確か。
ウナギとか発光生物とかの話は深海がらみになるし、3章はそのもの「深海にひそむもの」とがっつり深海生物の話もある。

だから、ここで紹介しているのは間違いではない。間違いではないのだ。

しかし、内容が充実しているのは良いことなのですが、文章多いし、掘り下げた内容になってるしで普段生物系の本とか何かしら簡単なものでも理工書のようなものを読む人じゃないと読んでる途中で挫折するか飽きそうな予感。
あと、内容は濃いですが当然その分色んな生物のことを知れるような広い内容ではないです。
狭く深く、ということですね。

それなので、深海に興味を持ったから~という理由で手に取る本じゃないです。
がっつり海の生物に興味を持ってますって人にオススメ。

ちなみに、ニュートンで高い高い騒いでたけど、こっちの2000円は妥当かちょっと高いくらいの印象。贔屓目だけど。




takarajima_sinkai.jpg


タイトル:こんな生き物見たことない! 「深海生物」大図鑑
刊行:2013年7月
価格:1200円(税抜き)

これまで紹介して来た本はどれも良い点があってそれなりに薦められたけど、

おう、別冊宝島。テメーはダメだ。

最初で紹介した深海探検と同じように生物紹介は「深海のフシギな生きもの」とか「深海のとっても変わった生きもの」の劣化版かつどこかで見た写真ばかりではあるけど、それなりに写真は綺麗だしその上大判なので見やすいし生物写真掲載に特化して内容絞れてるしで中々良いムックと思います。

思ってました。65ページまでは。



takarajima_sinkai_sirokuro.jpg

なんじゃこりゃあ!

この本、途中まではカラーなのにこのページを境に白黒のページとなって、実質半分は白黒のページになるんですよ!
しかも大切な頭足類のページの途中からとかもう、もう許すまじ。
この構成にしたやつは焼けた鉄板の上で土下座しても許されない。

ちなみに文章はないに等しい。最後辺りとか途中のコラム的なものにはあるけど、読んで面白いかって言われるとNO!です。メインじゃないんで良いかもですけど。


とまあ、こいつだけは許せないやつですね。値段相応なのかもしれないけど、それなら少し上げても良いからオールカラーにして欲しかった。本当に。
それであれば文章の面白くなさと少なさを考慮に入れても少しはオススメできるものだと思うんだけど・・・
とにかく白黒が許せない。タコの辺りから白黒にしてくれたのだけが許せない。





以上。
ということで、普段いっぱい深海関係の本買ってるよって人は「不思議の海」で、
あまり普段はそういう本読まないよーって人は「深海の世界」当たりがオススメかな。
気になったら手にとってみてくださいな。もう書店に並んでるかどうか怪しいけど!
スポンサーサイト

2013年12月03日 | | トラックバック:0 | コメント:6

「深海魚ってどんな魚」レビュー

sinkaigyo_donna_top.jpg


タイトル:深海魚ってどんな魚 -驚きの形態から生息、利用-
著者:尼岡 邦夫
刊行:2013年5月
価格:3600円(税抜き)

・傾向バランス
啓蒙書―◯―――専門書
絵・写真――◯――文章

・オススメ度 ☆☆☆☆★

◯この本について
「深海魚 -暗黒街のモンスターたち-」の続刊的位置にいる新作です。

前作である「深海魚」の方は図鑑的な完成度はかなり良く、個々の生物の説明も多くはないけどしっかりはしてるし、コラムも豊富、掲載されている写真も多いと、割りと至れり尽くせりな出来です。
しかしながら、専門的な話や用語などもちらほらあり、子供など知識がまだ浅いような人たちには難しかったらしいので、やさしい深海魚の本を書こうってことになり今回のこの本が作られた、らしいです。
この本の冒頭に書いてありました。なるほどなー。

というコンセプトの新作ではあるのですが、紹介している生物は前作とかなり被っています。写真も同じの使ってるものもいます。
構成も似通っていてぱっと見だと第2版かと思うくらいで、最初はただ単に前作をわかりやすく再構成しただけだと思っていました。

しかしちゃんと読めばこれはきっちり「前作とは別物の新刊である」と言えるほどの内容になっているのがわかるのです。

◯内容
ページに何匹もの深海魚の写真(一部イラスト)を詰めて、その一つ一つに簡単な解説文が付いているのは前作と一緒。今回は280種が掲載されているそうで、前作の260種を20種ほど上回ります。
前作では生物が特徴ごとに分類されて、その特徴ごとに章立てされていましたが、
今作は以下のようにざっくりした章立てになっています。

-------------------------
一章:謎だらけの深海魚
二章:深海魚の食事のマナー
三章:深海魚はどうやって見を守っているの?
四章:深海魚はどうやって子供を残すの?
五章:面白い深海魚
六章:深海魚の不思議な生活
七章:僕達の身近にいる深海魚
-------------------------

この章の中で更に特徴とかで項が分かれていて、項の冒頭にはその特徴に対するギミックの解説も多く盛り込まれている形ですね。
このギミックの解説辺りは前作にもありましたが、それよりも丁寧に解説されている印象。その代わりに個々の生物の解説がちょっと減ってるかなとも思います。

そして、読み進めていく途中にはクイズがあったり、自分で容姿から種名を調べるフローがあったりと軽い参加型コーナーも用意して理解を深めるための工夫も面白くて大変良いです。

特に「ムネエソやハダカイワシの分類フローで実際に種名を調べてみよう!」というわけがわからないほどマニアックなページが好き。


sinkaigyo_donna_naka.jpg


おそらく生きてるうちで使うことは全くないであろうフローだな!ハダカイワシに挑戦はしてみたものの、挫折。硬骨魚への興味が薄いのがいかんのか・・・それに標本の状態もアレってのもあるし(言い訳)
ムネエソ好きやハダカイワシ好きは涙と鼻水とよだれ垂らしながら喜ぶ代物なのかもしれません。

と、こういった作りから見るに「図鑑」然としていた前作に比べると今作は単純に「読み物」としての側面を強くしたような代物になっています。
更に文章は、多少専門用語は混じりますが誰でもわかりやすいような文章で読み進めやすく、一から最後まで読むのも苦にはならないでしょう。
このように、より広く、多くの人が最初から最後まで読めるように、そして理解できるようにというコンセプトがちゃんと伝わってくるのは良いですね!一本そういう芯が通ってる本はそれだけで良い本になる気がします。
逆にその辺りが曖昧だと、読み進めるうちに飽きたり、そもそも読んでてつまらなかったりする。・・・おい、「深海魚探検」、お前のことだ。

さて、もちろん難点もいくつか。

標本が相変わらずボロい!
わかってます、深海生物やわらかいやつ多いし、水揚げ時点でボロボロだったりでこうなるのはわかってます。
だけどボロい!しかしボロい!
それでも前作と比べると多少は綺麗なものが多いような、気がします。気が。
写真自体の解像度が全般的に上がってるようなので、クオリティは確実に上がってます。
でも状態がなぁ・・・と呟いてしまうのは、ないものねだりとわかってはいるものの、仕方のないことだと思います。絶対。

あとは、誰にでもわかりやすい文章というと耳触りが良い表現ですが、言い換えると多少児童向けな表現になってしまっています。文章量に比べて内容が少し薄い印象があって、おっさんとしては読み応えが減ってちょっと悲しい。
そもそも文章量自体が、前作よりも少ない気がするのもマイナスポイント。ここは読みやすさを優先させた結果でしょうか。

そして、冒頭で書きましたが前作と同じ魚かつ同じ写真のものがかなりあります。
流石に一新というのは難しかったか。前作を持っていてかつ読み込んだような人は割りとがっかりするポイントかもしれません。

最後に、肝心で重要な難点が、軟体生物が皆無。
いない。全くいない。頭足類はもちろん貝類もおらず、棘皮動物も刺胞動物も全くいない。深海「魚」だけの本なんですよ。これ。どうなってんの。イカとタコはどこ。
いや、「タイトル見てこい」とか「コンセプトは一つでまとまってたほうが良いとか言ってた奴がどの口」とか突っ込みどころはあるのはわかってるんですが、俺は軟体生物が好きなんだよ!何にでも軟体生物が欲しいの!ないものをねだりたいの!
俺と違って深海「魚」が好きですって人は逆に嬉しい要素です。


◯総評
前作と比べると、より面白く、よりわかりやすく、より読みやすくなった一品。
代償としては読み応えとか、詳しさなどがあるのは前述の通り。
狙い通り本当にわかりやすくターゲット層がわかれていて、

前作:生物系の専門書のようなものにあまり抵抗がない人
今作:深海生物が好きだけど、専門用語とかが多発するとついていけない人


という感じになってます。これから深海生物に触れていきたい人とか、難しすぎる言葉はわからないお子さんなんかにピッタリかと。

前作を持っていて、面白かったから今作を買おうかと思ってる人は、一度中身を確認して買ったほうがいいかもしれません。内容的に被っているものも多いですし、より初心者向きの書籍になってしまいますので、お眼鏡にかなわないかも。

とりあえず、次回作こそ軟体生物を期待します。深海性頭足類オンリーとかを頼みたい。是非に。

2013年07月04日 | | トラックバック:0 | コメント:0

「深海魚 -暗黒街のモンスターたち-」レビュー

sinkaigyo.jpg

タイトル: 深海魚 -暗黒街のモンスターたち-
著者:尼岡 邦夫
刊行:2009年3月
価格:3619円(税抜き)

・傾向バランス
啓蒙書――◯――専門書
絵・写真――◯――文章

・オススメ度 ☆☆☆☆★

◯この本について
色々な深海生物の本が出ているにも関わらず、何故か少ない深海生物の「図鑑」。
子供向けとしては出されているものの、大人が読み耐えられるようなものはあまりありません。
この本は、数ある深海生物の本としては珍しいちゃんとした深海生物の「図鑑」です。

◯内容
一ページに何匹もの深海魚の写真(一部イラスト)を詰めて、その一つ一つに簡単な解説文が付いている、という「図鑑と言えばこういうのだよね」と言いたくなるスタンダードな構成です。
その為、掲載されている深海魚の種類は多く、その数や260種にものぼります。
子供の頃、意味もなく好きな図鑑を読んで過ごしてきて、まだその図鑑好きスピリッツが燃え尽きず、今深海魚が好きなあなた!これはあなたの為の本ですよ!

またこの本は全体的な構成も中々面白いのです。というのも、各深海魚を姿形などの特徴を元にして分類して、その分類ごとにまとめて載せているのです。恐らく、名前も知らない深海魚を探したい、というときにこの図鑑を紐解くことを想定しているんだろうと思います。
深海魚のTV番組を見るとき、お手元に置いてあればきっと役に立つ、かも。
また、個々の生物の解説文についても図鑑然としています。つまり必要十分な情報は載っているけど、あまり詳しさ求めるのは酷ってことです。それでも、この手の本にしては詳しく解説がされているといっていいです。
他にもコラムもあったりして割りと文章量は多めです。

さて、ここまでが良い点ですが、この本の最大の特徴でありがっかりポイントをあげましょう。
それは写真です。別に写真がピントがあってないとか、解像度が低いとかそんな問題ではないです。むしろ品質としては綺麗な方です。
しかし悲しいかな。全部標本の写真なのです。
しかも、かなりの数の深海魚がボロボロの状態の写真。何分、水揚げされてからの写真でただでさえ脆い奴が多い深海生物達なので、ウロコとかヒレが既にボロボロで、色も変色してしまっているものも多い。はっきり言って、「なにこれワケがわからない」って写真も結構あります。
水中で撮影がなされている深海生物は様々な問題からかなり少ないですし、図鑑的なものである以上できるだけ多くの深海魚の写真は載せたい、という点からこういう写真が中心になっている思われます。それは理解しているつもりなのですが、めくっている時点での残念さは拭えない。

残念といえば、軟体生物が一切載ってないのが残念すぎます。いや、タイトル自体「深海魚」ってなってるし、深海の軟体生物(ナマコ含む)は水揚されるとドロドロのぐちゃぐちゃになって悲惨の一言になるってのもわかってる。しかし!しかしだ!俺は軟体生物みたいのだ!ウワァァァン!


◯総評
写真は残念だけど、内容としては良い本です。特に紹介されている深海魚の数が多いのが大変良い。
構成も工夫されているし、解説もしっかりした内容かつコラムもあって文章量も文句なしとかなり好感が持てる本です。惜しむらくは重ね重ねになりますがやはり写真・・・もっと綺麗になれば・・・こうなってしまうのは仕方のない事と理解してますが、我儘な読者としてはしっかりした深海生物の姿を拝みたいのです。これが普通の図鑑の様に綺麗な姿だったら神棚にこの本飾ってた。きっと。
というわけで、この本は特に深海魚の知識を深めたい人にオススメ。次回作があるなら、どうにかして軟体生物をお願いしたいですね。どうするかはわからないが、どうにかして欲しい。お頼み申す。

2013年06月24日 | | トラックバック:0 | コメント:0

「深海魚探検」レビュー

sinkaitanken.jpg

タイトル:深海生物の謎
著者:ビーチテラス編
刊行:2010年10月
価格:1600円(税抜き)

・傾向バランス
啓蒙書◯――――専門書
絵・写真―◯―――文章

・オススメ度 ☆☆★★★

◯この本について
2009年に動画が公開されて、深海生物ファンだけでなく普段あまり生物に興味が無い人まで度肝を抜いた、デメギニス。
きっと大勢の人が、一体この頭は何なんだ!?口はどれなんだ!?これは鼻なのか!?この魚についてもっと知りたい!と思ったはず。

この一冊はなんと、そんな皆の願いをあまり叶えない、深海生物の写真集です。
表紙にドーンと載ってますが、別にデメギニスメインじゃないです。残念。
ただ、少しだけ他の生物より詳しく書いてありますので、頭とか口とか鼻とかの疑問くらいは解決してくれます。

あと、画像ではわからないですが、表紙はうっすらホログラム加工。文字のフォントと相まって児童書っぽくも見えますが、中身は割りと真面目。

◯内容
数ある深海生物の本の中でも多いと思われる深海生物の写真集です。特徴としては、深海生物がアップで写っている写真が多くて、
「綺麗で美しくもグロテスクな深海生物を見せたい」
ということが感じられるような構成です。深海-ABYSS-と同じ方向性の写真集ですね。

その意気や良しではあるのですが、肝心のその写真が何とも統一感がないのが非常に残念なのです。
水中での生体撮影。
標本での撮影。
動画からの切り取り。
この三つが混ぜこぜで載っているせいで、何だか綺麗な写真と綺麗なんだけど生物ボロボロな写真とか妙に画質が荒い写真とかがめくる度に入れ替わって目に入ってくるため、読んでてモヤモヤする何かが沸き上がってきます。
全体的に、
「スタッフが良さげな写真かき集めてきました!」
って感じが漂います。

そして本の最後辺りになると統一感のなさが遺憾なく発揮されてなんと、深海生物の写真ですらなくなります。ちょっと変わった海の生物の写真になります。
そのうちのひとつ、ニシキフウライウオでは開き直っているのか解説文が

タツノオトシゴなどの一種で、いわゆる深海の魚ではない。飛翔するドラゴンのように見える体は、色鮮やかに美しく彩られている。体調は10cm前後。ヒダのような突起物(皮弁)で全身を包まれ、ゆったりと浮遊するさまは優雅な竜宮の舞のようだ。


となっており、お前ちょっとこの本のタイトル見てこいやと言いたくなること請け合い。
この本のテーマとは一体何だったのか改めて考えたくなります。

ちなみに一つ一つの写真に説明文もついてますが、この手の本のお約束の様におまけレベルの説明文です。
あと、途中にコラムも少しだけ載っているのですが、正直なんでコレを挟んだのか理解ができない。
この本の構成テーマ自体が謎で、強いて言うなら「深海生物キモカッコカワイイだろ?」なのに、何故グレートバリアリーフの深海調査レポートを載せるのか。
何の脈絡無く出てくるし、内容も結局何が言いたいのかよくわからなくて「神経学的な面から科学のメスを深海に入れることによって、調査を進歩させるよー」的なことがぼんやり書いてあります。いらんだろこれ。

そしてどうしてもツッコミを入れたくなるのはダイオウイカのページ。
ダイオウイカのページは写真じゃなくてCGイラストなのですが、端の方に写真があります。

IMG_0404.jpg
(子供でもダイバーより大きい、と書いてある)

ダメだろ。


これニュウドウイカか何かだろ。ダイオウイカじゃないだろ。
昔ニュウドウイカの写真がダイオウイカの写真と間違われていたこともあるらしいのですが、2010年の出版物でこれはダメでしょ。イカ好きとして看過できない。
これで本当にダイオウイカだったら赤っ恥もいいところなんですが、これは違う自信がありますよ!
こんなん見たことも聞いたこともないわ!

◯総評
テーマが曖昧ってことはこういうことだ!と痛いほどに伝えてくれる本。これは写真集というより写真寄せ集め本という表現の方がニュアンスとしてしっくりきます。
写真一つ一つは悪くないもののはずなのに、色んな所からいろんな写真をより合わせるとこうも読み物として面白くなくなるのかと感心しますね。
ただ、読むに耐えないという感じではなく、一応読めるものだけどもうちょっと何とかならなかったのか、という感じの代物。
買ったら心の底から後悔するという程ではないです。
だけど、正直薦めない。

出版当時ですら既に深海-ABYSS-という出来の良い深海生物写真集が出ていたし、現在ではそれだけではなく他にも深海生物の写真集はあります。それも出来の良いものが。

そうなると、今この本を勧める理由が全くないと言わざるを得ません。
これを買うなら、コレクターズアイテムとして買べきな一品です。
ちなみに、コレクターズアイテムとして買うなら、保管には気をつけてください。表紙はこすれ傷に弱くて剥げやすいです。注意。

2013年04月08日 | | トラックバック:0 | コメント:2

「ふしぎな深海魚」レビュー

fushigi_sinkai.jpg


タイトル:ふしぎな深海魚
著者:北村 雄一
刊行:2012年10月
価格:2300円(税抜き)

・傾向バランス
啓蒙書◯――――専門書
絵・写真◯――――文章

・オススメ度 ☆☆☆★★


◯この本について
私にはまだ子供はいませんが自分が子供だった時代を鑑みるに、人は子には何かを継がしたいという欲求があるに違いありません。
それは自分の生き方、技術、知識、思想、理想などなど人によって様々あると思います。自分が受け継ぎ培ったものを、次の世代に伝え、継がし、繋げていきたい。
お子さんがいる方、どうでしょう、そんなことありませんか?
あるでしょう、そうでしょう。伝えていきたいでしょう、深海生物のことを。

そんなあなたにこの一冊。

◯内容
完全に児童向けの深海生物本です。
対象年齢としては、小学生低学年~中学年くらいだと思います。

深海生物の絵が所狭しと書かれており、隅のほうにその深度の特徴、そこに住む生物の特徴などを大変わかりやすく、小さな子供が理解できるように書かれています。
図鑑というよりは、絵本と言ったほうがこの本の表現として近いような印象を受けるような構成です。

fushigi_sinkai_naka.jpg
(本当は上下にもう少し広いです。画像はカットしてます)

基本的に全編この構成で、全35ページ。
出てくる生物は23種。
それで2300円(税抜)。

児童書って高いんですよ?知ってました?俺は久々に認識しました・・・
しかし、高いのにも理由があります。図鑑やら絵本やらの児童書は
・ハードカバー
・でかい(この本はA4版)
・頑丈でやたら良い紙
という特徴があるためお金がかかるのです。と思って我慢して買ってます。
しかし、それでも2300円は高い気がします。

さて、それはとりあえず置いておいて絵に関してですが、深海生物の絵と言えばこの人でおなじみ、安心の北村先生です。上の画像でわかると思いますが。
実写的でいて、どこか温かみが感じられるような塗り方の北村先生の絵は児童書にも合いますね。
しかし、深海生物自体がグロテスクでもはやホラーな奴もいるため、子供が怖がりそうな予感も・・・
この本を幼稚園児とかに渡したら泣き出すのは確実。
親御さんは一緒に読んでやってあげてください。

◯総評
児童向けの深海生物の本というのは大変珍しいものです。この本の他には「深海生物大図鑑」しかありません。しかし、そちらは対象が小学生中学年~高学年という感じですし、何より中身がちょっと残念なので、今からお子さんに深海生物の英才教育を施そうとしている人は是非この本を手にとってみてはいかがでしょうか。
内容は、子供の立場に立ち辛いのではっきりとは言えないのですが、読みやすくて良いんじゃないかと思います。
基本的に絵中心なので、最悪文字読まなくて良いですし。入門にピッタリ。
(1月7日追記:児童向けの深海生物の本がこれと深海生物大図鑑しかないとか書いてますが、「深海の世界」とか「深海のなぞ」とか「深海の不思議な生物」とかがあることが発覚。すみませんでした。恥ずかしい。)

さて、散々児童書だからお子さんに読ませろという話をしてきましたが、では大人が読むのはどうなのか。
はっきりいうと、とてもじゃないですが大人が耐えるような作りではないです。値段も値段ですしページ少ないし。
そう、耐えられる作りではないのですが前述の通り、大判で、紙質が良いこの本は「北村先生の深海生物画集」としてはある程度優秀。
所狭しと深海生物が描かれていて、それが大きく!そして綺麗!それだけでも北村先生ファンとしてはたまらないものがありますよね!あります!
しかしその使い方にしては値段が高いのはどうしようもないのは事実。何でコストかかってるかは知りませんが、その点が残念です。
というわけで、そういうある意味上級者的使い方が出来、それにお金を払える人は、この本買ってもある程度幸せになれるんじゃないですかね・・・

俺は幸せです。

ちなみにオススメ度は大人が読んだ場合を基準にしてます。
辛口のくせに☆3つなのはここ見るような人はみんな上級者のはずだから。
英才教育予定のお子さんがいるなら
☆☆☆☆★
くらいかなと。値段が高い分減点。

2013年01月06日 | | トラックバック:0 | コメント:2

「深海世界」レビュー

DeepSeaWorld.jpg

タイトル:深海世界

著者:(記載なし)
刊行:2012年11月
価格:1400円(税抜き)
・傾向バランス
啓蒙書―◯―――専門書
絵・写真◯――――文章

・オススメ度 ☆☆☆☆☆


◯この本について
つい数年前まで、深海生物の本なんて片手で数えられる程にしか出版されていませんでした。
ところがここ最近、技術の進歩などもあるせいでしょうか、深海生物の書籍が数多く出版されるようになりました。
その中でも多いのが、「深海生物の写真集」形態の書籍です。深海生物といえばその奇妙な造形!という印象はやはり強いですからね。ビジュアル面で楽しめるものが多く出版されるのもさもありなんです。
さて写真集と一言で言ってもその中でも多種多様。綺麗な写真を集めたやつだったり、標本の写真集だったり、とにかく雑多に集めたものだったり。
この本は、そんな「深海生物の写真集」「綺麗な写真を集めたやつ」のカテゴリーにばっちり属するものとなっています。


◯内容
ざっくりと「綺麗な深海生物の写真集」と書いてしまうと、それだけでもう書くことがほぼ無くなるような内容です。

載っている写真は背景が真っ黒の中に深海生物のアップ写真がメイン。たまに海中写真がある感じです。

DeepSeaWorld01.jpg
(サンプルより拝借)

全体の8割近くがこんな感じです。
生物とか、深海の環境についての文章は最低限に留められています。
「綺麗な深海生物の写真集」とは書きましたが、そんなカテゴリー内でも恐らく一番文字数が少なく、「写真集」としての機能に特化している本と言えます。
解説文に没頭することがないので、写真に集中できる、写真集として良い構成だと思います。若干情報少なすぎなところもありますが、全然許容範囲。
写真自体も解像度が低くて荒いようなものはほとんどなく、ちゃんと綺麗なものです。そして、この写真がどこから提供されているというと、そう!あの新江ノ島水族館・・・と撮影協力の欄には書いてあったりするのですが、実際には
Bluegreen Pictures  ・Image Quest Marine  ・アマナイメージズ
この辺りからが大半。
というか、生物の写真で新江ノ島水族館で撮影と書いてあるのはラブカの写真一枚のみなんですけどね。
それで撮影協力:新江ノ島水族館って書くのは中々度胸のある行為だと感服せざるを得ません。

生物の種類は約70種。総ページ数は90。ボリュームだけでいうと、ちょっと少ないかな?という印象もあります。
しかし、それで価格が1400円なので個人的にそこそこ安いと思っているのですが、一般的にはどうなんでしょうか?この辺りの金銭感覚が麻痺している恐れがあって判断がつきません!

そして、特筆すべき点として忘れてはならないのが、頭足類の多さ
約4分の1程度をイカとタコが占領するという素晴らしい生物チョイス。編集した奴は誰だ。褒めて使わす。
深海の頭足類好きにはたまらない編集で、めくるだけで興奮を抑えられない。
めくったらイカ、更にめくればタコ、めくるめく頭足類ワールド。4分の3でノイズが走りますが、まあ許しましょう。

◯総評
どこまで行こうとも「綺麗な深海生物の写真集」の一言で片付くことは前述の通り。
しかし、そのカテゴリーの中できっちり仕事をこなしてくれているのが好印象な一冊です。
あえてかどうかはわかりませんが、少ない情報量にすることでそれが写真閲覧の邪魔にもならず、深海生物を良く知らない人でもきっと読んで楽しめる良い構成です。
知識を得ようとしてこの本を買うとがっかりすると思いますが、深海生物が見たいという理由で買うならこの本の購入はきっと後悔しない買い物になるはずです。
他の本に載ってない写真も多いので、今までに深海生物の写真集系の本を買った人にもオススメ。

2012年12月03日 | | トラックバック:0 | コメント:2

「深海3,000フィートの生物(ヴィーナス)たち」レビュー

moegaku.gif

タイトル:深海3,000フィートの生物(ヴィーナス)たち

著者:北村雄一
編集:深海生物フューチャー・ラボ
刊行:2011年5月
価格:1400円(税抜き)

・傾向バランス
啓蒙書◯――――専門書
絵・写真―◯―――文章

・オススメ度 ☆☆☆★★

◯この本について
最近流行りですよね。萌図鑑とか萌辞典とかそういうもの。
ターゲット層としては、そのジャンルに興味があるけど専門書に手を出すほどじゃない人かつオタクと呼ばれる人たちに対して女の子とイラストで一本釣りできるの・・・?という未だに自分の中では疑問しかないジャンルの本ですね!
最初は何とか神話とか何とか悪魔とかの本しかなかったんですが、いつの間にやら科学の世界に侵食を始めまして、元素記号を始め、様々な萌え学術書(?)が出ているのです!どうしてこうなった。
そして、いつか出るんじゃないかと思っていた本がついに出た!いや、出てしまった。そう、深海生物の萌え辞典です。

◯内容
さて、この本は萌え擬人化イラストに1ページ、解説に1ページの普通の構成。解説ページの方には小さく擬人化ではない生物イラストが載っています。生物の種類は大体が名前は知っているような生物が中心なので、イラストといい、やはり深海生物のことはよく知らない、専門書には手を出していない人がメインターゲット層と取れます。
ちなみに擬人化のイラストですが、誰か一人がすべてを描いているわけではなく複数のイラストレーターが参加して描いています。俺もそこそこにはオタクと言われる人間なのですが、誰一人知っている人はいませんでした。勉強不足なのかそこら辺からかき集めてきたせいなのかはわかりません。
イラスト自体は、元の深海生物の原型をとどめてないのから、原型をとどめてないのまで様々です。多分、単品で見せられたら何の擬人化なのかわからない自信があるのも多いですよ!イラストの全体的な出来としては、、悪くない、と思います。任せて信じて下さい。これでも中学生の頃は美術の成績は万年「1」でしたから。5段階評価で最高は「5」でしたけど。

また、擬人化イラストがメインだから解説の出来は悪いんでしょ?と思うかもしれませんけど、それは大間違い。なんと文章担当は、多くの深海生物の本を書かれている北村 雄一先生です。なにやってんすか北村先生。おかげで文章の出来は大変良いのです。イラストが霞んで見えなくなるくらい。左側のページ(萌えイラスト)なんていらなかったんだ。
なので、解説の内容は一般層やあまり知らない人を意識してか、他の本よりやや解説は丁寧な印象を受けるものの、その生物の情報はしっかり載っており、何かの資料としてちゃんと使えそうなほどです。もはや何故萌えイラスト抜きでこういう本を出さなかったか、問いただしても良いですか。北村先生自分でイラスト描けるんだから、それでいいじゃないですかぁ!

◯総評
全体的に見れば、擬人化イラストも見れて、内容もしっかりしているので萌えイラストに釣られる深海生物好きのあなたはきっと大満足!という感じなのですが、一体そんなヤツがどれほどいるというのだろうか・・・・
多分、イラストに惹かれた人はしっかりした解説なんていらないだろうし、深海生物の解説に惹かれた人は萌えイラストなんていらないだろうし、何というか、この手の本全体に言えることなんですが需要がよくわからない・・・
しかし何だかんだとこの手の本は増えつつあるので、知らないだけで需要はたくさんあるのかもしれません。
萌えイラスト、深海生物、どちらも好きな人なら、買う価値はあるかもしれないですね。

2012年07月04日 | | トラックバック:0 | コメント:0

「深海と深海生物」レビュー

sinkaitosinkaiseibutu.jpg


著者:(記載なし)
出版社:ナツメ社
刊行:2012年3月
価格:2000円(税別)

・傾向バランス
啓蒙書―◯―――専門書
絵・写真―――◯―文章

・オススメ度 ☆☆☆★★


◯この本について
皆さんは深海好きですか?
こんなヘンチクリンなブログに足を運ぶからにはきっと好きだと思います。好きなはずです。深海という非常に大雑把なジャンルの中で、一体何が好きでしょうか。
俺は胸を張って「深海生物」が好きだ!と言いますが、人によっては深海へ行ける調査船が好きだ、深海という未知なる環境が好きだ、深海底にあるプレート、マントルなどの地学的要素が好きだ、などなど様々な「好き」が出てくると思います。
しかし中には、まだそんなに詳しくないから何が好きかとは言えない、という人もいると思います。そんなあなたにオススメな一冊がこれ。

一言でこの本を表すなら「深海総合本」という感じでしょうか。
深海という環境。深海の調査。そして深海生物について。様々な観点から深海を語る本です。それぞれの要素のどれかに偏りすぎることなく書かれているので、オールマイティに深海の知識を取り入れられます。まあ、はっきりきっぱり言ってしまうと、深海に関しての知識が少ない人向けの本ですね。
何故かというと、この手の総合本の悲しい性として、それぞれの要素が中途半端になりがちというものがありまして。正直、詳しく情報が欲しいならそれぞれその情報に特化した本を買ったほうが良いのです。
しかし、普通の人はそんな専門性が高そうな本を何冊も買うのはハードルが高い!深海生物も!深海の環境も!何もかんも安く知りたいんじゃ!というわがままな要求に答えてくれるナイスな一冊なのです。


◯内容
さて、この本のように深海に関しての総合的な本はいくつかあるのですが、この本が他の総合本と比べて特徴があるのが構成です。

巻頭特集:深海への挑戦
第1部:海のなりたちと役割
第2部:深海と深海底
第3部:深海生物の世界
巻末付録:海洋調査研究とJAMSTEC

か、巻頭特集と巻末付録があるんですけど・・・!?
この本、雑誌じゃないですよ。ムック(※)でもないです。普通の書籍です。普通の書籍なのに巻頭特集と巻末付録があるのは中々お目にかかれない気がします。ナツメ社の本はこれが普通なんでしょうか。
(※ムックとは、雑誌と書籍の中間みたいなやつです。本屋の雑誌のコーナーにある、雑誌っぽいけど定期刊行してないやつとか、特集まとめただけのやつとかがそれです)

ちなみに、巻頭特集と巻末付録はJAMSTEC全開の内容になってます。巻頭特集の方はJAMSTECスタッフのインタビュー&仕事内容紹介。巻末付録の方はJAMSTECの調査機器紹介。全体から見ると大して分量はさかれてはいないのですが、こういうものが載っているところが非常にムックっぽいです。

全250ページほどで、色々第何部と分かれているものの大きく「環境の説明」と「生物の説明」にわかれています。
割いてるページ数はそれぞれで半分ずつといったところ。

内容的には、環境の説明の方は良い意味でムックっぽいものになっており、文字が多くなって興味がないとハードルが高くなりがちな説明文に、図を多く使ったり、ちょっとわきにそれたトピックが配置したりと読みやすさが工夫されています。
説明も深海とか関係なく海全般の説明から入るので、海の科学を知らない人も安心して深海の環境を学べるのが好印象でしょうか。
深海生物紹介の方は悪い意味でムックっぽいものになっていて、既存の写真を引っ張ってきたりJAMSTEC保有の映像から切り抜いてきたりしているようなので、どこかで見たことのある写真が多くかつ写真に統一感がないために安っぽく見えます。
一応綺麗な写真が多めだということと、紹介している生物の数がそこそこ多いのが救いでしょうか。
ちなみに生物の説明文はないよりはマシレベルです。


◯総評
豪華なムック。
一言で表すとそんな感じでしょうか。この本を読んでいると本当に書籍と言うよりはムックを読んでる感じがするのです。
中々この感じが伝えにくくてもどかしいのですが、とにかくムックなのですぞ。
ただ、悪い意味だけで言っているのではなく読みやすいというメリットがあるのは前述した通りです。生物の方は残念と言いたいレベルではありますが、この手のものをあまり読まない人には十分かもしれませんね。まあ、良いことに越したことはないので、やっぱり残念と言っておきますが。
あと、やっぱりこの本も深海総合本のご多分に漏れず環境に関しても生物に関しても内容としては浅いと言わざるを得ません。
なので、この本は深い知識をまだ持っていない、深海というものに興味を持ち始めた人が読むとイイんじゃないかなーと思う次第です。中々難しいターゲット層ですが。
もう深海の本なんて自分が好きなジャンルに偏らせて持ってるよ!って人は手を出さないほうが吉。
深海という名前が付くだけで何故か買ってしまう病の人は言うまでもないですよね。一緒に楽しく病んでいきましょう。

2012年03月30日 | | トラックバック:0 | コメント:0

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。