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「深海魚ってどんな魚」レビュー

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タイトル:深海魚ってどんな魚 -驚きの形態から生息、利用-
著者:尼岡 邦夫
刊行:2013年5月
価格:3600円(税抜き)

・傾向バランス
啓蒙書―◯―――専門書
絵・写真――◯――文章

・オススメ度 ☆☆☆☆★

◯この本について
「深海魚 -暗黒街のモンスターたち-」の続刊的位置にいる新作です。

前作である「深海魚」の方は図鑑的な完成度はかなり良く、個々の生物の説明も多くはないけどしっかりはしてるし、コラムも豊富、掲載されている写真も多いと、割りと至れり尽くせりな出来です。
しかしながら、専門的な話や用語などもちらほらあり、子供など知識がまだ浅いような人たちには難しかったらしいので、やさしい深海魚の本を書こうってことになり今回のこの本が作られた、らしいです。
この本の冒頭に書いてありました。なるほどなー。

というコンセプトの新作ではあるのですが、紹介している生物は前作とかなり被っています。写真も同じの使ってるものもいます。
構成も似通っていてぱっと見だと第2版かと思うくらいで、最初はただ単に前作をわかりやすく再構成しただけだと思っていました。

しかしちゃんと読めばこれはきっちり「前作とは別物の新刊である」と言えるほどの内容になっているのがわかるのです。

◯内容
ページに何匹もの深海魚の写真(一部イラスト)を詰めて、その一つ一つに簡単な解説文が付いているのは前作と一緒。今回は280種が掲載されているそうで、前作の260種を20種ほど上回ります。
前作では生物が特徴ごとに分類されて、その特徴ごとに章立てされていましたが、
今作は以下のようにざっくりした章立てになっています。

-------------------------
一章:謎だらけの深海魚
二章:深海魚の食事のマナー
三章:深海魚はどうやって見を守っているの?
四章:深海魚はどうやって子供を残すの?
五章:面白い深海魚
六章:深海魚の不思議な生活
七章:僕達の身近にいる深海魚
-------------------------

この章の中で更に特徴とかで項が分かれていて、項の冒頭にはその特徴に対するギミックの解説も多く盛り込まれている形ですね。
このギミックの解説辺りは前作にもありましたが、それよりも丁寧に解説されている印象。その代わりに個々の生物の解説がちょっと減ってるかなとも思います。

そして、読み進めていく途中にはクイズがあったり、自分で容姿から種名を調べるフローがあったりと軽い参加型コーナーも用意して理解を深めるための工夫も面白くて大変良いです。

特に「ムネエソやハダカイワシの分類フローで実際に種名を調べてみよう!」というわけがわからないほどマニアックなページが好き。


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おそらく生きてるうちで使うことは全くないであろうフローだな!ハダカイワシに挑戦はしてみたものの、挫折。硬骨魚への興味が薄いのがいかんのか・・・それに標本の状態もアレってのもあるし(言い訳)
ムネエソ好きやハダカイワシ好きは涙と鼻水とよだれ垂らしながら喜ぶ代物なのかもしれません。

と、こういった作りから見るに「図鑑」然としていた前作に比べると今作は単純に「読み物」としての側面を強くしたような代物になっています。
更に文章は、多少専門用語は混じりますが誰でもわかりやすいような文章で読み進めやすく、一から最後まで読むのも苦にはならないでしょう。
このように、より広く、多くの人が最初から最後まで読めるように、そして理解できるようにというコンセプトがちゃんと伝わってくるのは良いですね!一本そういう芯が通ってる本はそれだけで良い本になる気がします。
逆にその辺りが曖昧だと、読み進めるうちに飽きたり、そもそも読んでてつまらなかったりする。・・・おい、「深海魚探検」、お前のことだ。

さて、もちろん難点もいくつか。

標本が相変わらずボロい!
わかってます、深海生物やわらかいやつ多いし、水揚げ時点でボロボロだったりでこうなるのはわかってます。
だけどボロい!しかしボロい!
それでも前作と比べると多少は綺麗なものが多いような、気がします。気が。
写真自体の解像度が全般的に上がってるようなので、クオリティは確実に上がってます。
でも状態がなぁ・・・と呟いてしまうのは、ないものねだりとわかってはいるものの、仕方のないことだと思います。絶対。

あとは、誰にでもわかりやすい文章というと耳触りが良い表現ですが、言い換えると多少児童向けな表現になってしまっています。文章量に比べて内容が少し薄い印象があって、おっさんとしては読み応えが減ってちょっと悲しい。
そもそも文章量自体が、前作よりも少ない気がするのもマイナスポイント。ここは読みやすさを優先させた結果でしょうか。

そして、冒頭で書きましたが前作と同じ魚かつ同じ写真のものがかなりあります。
流石に一新というのは難しかったか。前作を持っていてかつ読み込んだような人は割りとがっかりするポイントかもしれません。

最後に、肝心で重要な難点が、軟体生物が皆無。
いない。全くいない。頭足類はもちろん貝類もおらず、棘皮動物も刺胞動物も全くいない。深海「魚」だけの本なんですよ。これ。どうなってんの。イカとタコはどこ。
いや、「タイトル見てこい」とか「コンセプトは一つでまとまってたほうが良いとか言ってた奴がどの口」とか突っ込みどころはあるのはわかってるんですが、俺は軟体生物が好きなんだよ!何にでも軟体生物が欲しいの!ないものをねだりたいの!
俺と違って深海「魚」が好きですって人は逆に嬉しい要素です。


◯総評
前作と比べると、より面白く、よりわかりやすく、より読みやすくなった一品。
代償としては読み応えとか、詳しさなどがあるのは前述の通り。
狙い通り本当にわかりやすくターゲット層がわかれていて、

前作:生物系の専門書のようなものにあまり抵抗がない人
今作:深海生物が好きだけど、専門用語とかが多発するとついていけない人


という感じになってます。これから深海生物に触れていきたい人とか、難しすぎる言葉はわからないお子さんなんかにピッタリかと。

前作を持っていて、面白かったから今作を買おうかと思ってる人は、一度中身を確認して買ったほうがいいかもしれません。内容的に被っているものも多いですし、より初心者向きの書籍になってしまいますので、お眼鏡にかなわないかも。

とりあえず、次回作こそ軟体生物を期待します。深海性頭足類オンリーとかを頼みたい。是非に。
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2013年07月04日 | | トラックバック:0 | コメント:0

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